寺社仏閣
八事山興正寺-(旧)日下部邸移築再生工事

平成19年8月着手 ≫ 平成20年9月落慶

 

■八事山興正寺−平成大改修事業の一環として
五重塔

竹翠亭として生まれ変わった 旧日下部邸

 

 

不思議な御縁をいただき、名古屋市昭和区八事本町にご座居ます、高野山真言宗 別格本山 八事山 興正寺様の、平成大改修事業の一環である「旧日下部邸移築再生工事」に携わる事が出来ました。創業まもない私共に、設計から制作までを全て任せて頂いた事を、御住職様をはじめ興正寺の皆様方に深く感謝申し上げたいと存じます。
旧 日下部邸は、岐阜県岐阜市の重要建築物であり、重要文化財級とも評される数奇屋の名邸でありました。同市出身で、明治後期から昭和前期にかけ海運事業で成功された”海運王”日下部久太郎氏の邸宅であり、明治末に設計され、近代建築技術の粋を集めて大正8年から9年頃に完成、築85年余を経たものでご座居ます。その所在地は、江戸時代に尾張藩主の岐阜御成の際に本陣をつとめた賀島勘右衛門(庄蔵)家があった場所でもあり、その文化的価値から、周辺住民の方々による現地保存が請願されておりました。

 

この度の移築工事は、八事山興正寺様と同じく高野山真言宗別格本山である蓮花院の御住職で権大僧正様のお力添えにより、八事山興正寺様の許可を頂き実現に至ったものであります。

現在、(移築後)日下部邸は、興正寺様の普門園内に「竹翠亭(ちくすいてい)」として、又、門は入口に当たる「相碾門(そうてんもん)」として生まれ変わり、茶道の稽古場として使用され、永代に渡り残されることとなっています。


≫詳しくはホームページをご覧下さい。



◎平成大改修により現代に蘇り後世に引き継がれる歴史的建造物

 

■日下部邸移築再生
 
旧日下部邸
移築後01
 
旧日下部邸 解体中
移築後01
 
旧日下部邸が茶道の稽古場、竹翠亭(ちくすいてい)として現代に蘇る
移築後01
移築後01
 
竹翠亭の門として生まれ変わった相碾門
移築後01

■蓮花院と徳川家


高野山は弘法大師空海により開創されて以来、来る平成二十七年には、千二百年を迎えます。高野山は、紀伊半島紀ノ川南領、蓮の花のように八葉の峰々に囲まれた平原の幽地であります。弘法大師は弘仁七年(819年)、時の帝、嵯峨天皇に高野山下賜を請願、これが認められ、高野山の歴史が始まりました。以来大師信仰のもと天下の霊場として護持発展してまいりました。弘仁八年、弘法大師が高野山開創にあたり、悪魔降伏のため軍茶利明王の秘法を修し結果を結んだ時の草庵が蓮花院であり、大師が観行中に「八葉の白蓮中に瑞光現れたる」に因り蓮花院と称されております。以来、古くから徳川家御一門並びに全国有縁者の総菩提所として信仰のより処として栄えて参りました。特に徳川家と蓮花院の師団関係は、永享十一年(1439年)に徳川家の祖、松平親氏公の代に結ばれました。天文四年(1539年)に、徳川家康公の祖父清康公の遺骨が納められ、この際に蓮花院を光徳院に改号し、天正八年(1580年)に家康公が堂宇を再建、文禄三年(1594年)には家康公が高野登山の折、さらに光徳院を大徳院に改号されました。以来、明治二十一年の大災後、元の蓮花院と改号し現在地に移転するまでは大徳院と号されました。

蓮花院
■興正寺と徳川家


貞享三年(1686年)、高野山などで修行を重ねた天瑞円照大和尚が、俗塵を離れた八事の地に心惹かれ、草庵を結んだのが八事山の始まりです。そのうわさが広がり、時の藩主、尾張徳川二代目光友公の耳にも入り、公が天瑞和尚に登城を求めました。和尚は城に上がり、公の求めに応じて法を説きました。和尚は、貞享五年(1688年)八月十九日、寺社奉行に八事の地への寺建立の許可を求め、同年九月三日には許可が下りたと記されています。ことの運びがきわめて速やかであった点から、和尚との出会いが光友公に深い感銘を与えたことが伺えます。その後も天瑞和尚に対する公の処遇は極めて手厚いものでした。まず、律寺建立の許可と同時に、八事山遍照院興正律寺の号を送り、元禄と改まっていた同年11月29日伽藍建立のことが定められます。和尚は開基として弘法大師を勧請、また自らは、奈良・西大寺の興正菩薩の法流に連なるものとして同菩薩を菩薩流の流祖に和尚自身を中興と位置づけました。翌元禄二年二月十二日、公は伽藍の棟札に「正三位護中納言 源朝臣光友」と自署し寄進します。さらに五月十五日には愛知郡川名村西新田の内、五十石を寺領地方に寄附、諸役御免とし八月十五日には鎮守として正八幡宮を勧請、以後着々と諸堂宇が整えられていったようです。開山に至る経緯といい、諸堂の建立といい、本尊建立といい、全ては光友公の深い帰依と関わっており、歴代尾張徳川家との強い絆は天瑞和尚とともに始まっているのです。

五重塔

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